本レビュー『敏感すぎて困っている自分の対処法』-HSPという概念を知りました
人間関係とか、体の不調、精神的な不調など私が抱えている問題のすべてを説明してしまう一冊の本に出会いました。
失礼ながら、図書館にも無い本だし表紙がポップなイラストなこともあって、中身は薄いかもしれないとあまり期待していませんでした。
- 作者: 苑田純子,浜松医科大学名誉教授高田明和,高橋敦(マンガ)
- 出版社/メーカー: きこ書房
- 発売日: 2015/01/31
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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著者 苑田さんは敏感体質を調べ上げて、上手に付き合っている方です
著者の苑田さんご自身も"敏感すぎて困っていた人"でした。
この本の中で、敏感すぎる人のことはHSP(Highly Sensitive Person)として説明されています。HSPは統合医療が進んでいるアメリカで定義づけられ、研究が進められているとのことです。
HSPはごく小さな刺激も拾うくせに、刺激全般にとっても弱いんです。
刺激に弱いというのは、刺激に対して脳が過敏に反応するってことです。
苑田さんのご経験談を読んだところ、その敏感さ度合いは私の比ではないくらいに超敏感なことがわかりました。苑田さんは、一般に霊体験とか言われるような意識までご経験されているのでした。
冒頭にある高敏感度チェック(HSP度チェック)23項目のうち20個当てはまっている私もなかなかの敏感さと思いますが、その上にはさらにケタ違いの"敏感な人"もいるという事実自体も発見でした。
苑田さんの体調不良っぷりも私よりもずっと重症でした。現代医療で解決できない部分に、ご自身で解明を試みた苑田さんの気迫にはただ尊敬します。
今では自分で不調に気付いた時には自分で整えることができているそうです。もちろん、普段から心身のベースを整えることもされています。
その生き方は本質重視ですし、自然の流れに則っていて、私は魅力を感じました。
終始、説得力に欠けない内容
スピリチュアル的な内容も出てきますが、苑田さんは多くの科学論文をベースに科学的根拠をはっきりさせている方なので説得力があります。
HSPの気質や体質を、ホルモンや脳の働きから説明しています。スピリチュアル色が強く出てしまいがちな未解明の脳科学分野についても、量子やエネルギー論で切り込んでいこうとされているので信頼できました。理論重視で頭ガチガチの私でも。
かと言って堅くなりすぎないように工夫されて書かれているところが見事です。
私の抱える問題に対するカバーっぷり
本を読んでわかったことを緑字で書きました。
-がまんしすぎてうつになったことがあります。
敏感だと他人軸になりがちだけど自分軸で生きるように変えていく。
-特定の不安・恐怖、時にははしゃぎすぎの大興奮によって吐き気を感じることがあります。心因性嘔吐とか、嘔吐恐怖パターンのパニック障害に似たものらしいです。
怖れや不安はただ観察する、体の不調もただ味わう。そうするとやがて落ち着く。
-アダルトチルドレンの傾向に当てはまります。他人の不安や悪いニュースに影響を受けやすかったり、実の母親との関係がうまく行っていません。
敏感な人は自分と他人の境界が薄くてあやふや。自分の境界を守るとともに、他人の境界に踏み込まないようにする。
-自分に自信がありません。
自分に自信がないことが生きづらさの原因と思っていましたが、自信を持てないのも敏感であることの結果であることがわかりました。漠然と自信をつけようとするよりも、敏感さを減らしたり敏感さとうまく付き合う方法を取り入れると良いんだなと思いました。
私は今まで、これら全てを個別の問題として認識していました。
それぞれについての情報を様々なソースから集めていました。
全ての根底に"敏感体質"があったとは!!!!
バラバラの事象がまとまるスッキリ感がありました。
何より、あれこれと問題を持ってる自分が嫌でしたが自分はただ"敏感すぎる人"なだけだとわかって気持ちが救われました。
逆に、私がたどり着いていた様々なソースがこの一冊の本の中で紹介されていました。
アンドルー・ワイル博士の著書もジョン・サーノ博士の著書も以前に読んだことがあって内容に納得していたので、その内容も取り込まれているこの本にはスッと入り込んで行けました。
私の吐き気の癖については、嘔吐恐怖のパニック障害専門カウンセラーであるとがしやすゆき先生のブログを参考にしてうまく落ち着かせられるようになっていました。
症状(私の場合は主に吐き気や緊張感)を嫌がったりコントロールしようとせずにただ観察して言葉にして実況中継をしながら目の前のことを行なっていく、ということを実行していました。
この本でも同じことが勧められていましたので「そうそう!効果あるのよね」と、この本の内容の精度の高さを実感したのでした。
敏感な自分との付き合い方と明るい展望
自分が高敏感体質・HSPと分かったらどうすれば良いか。
苑田さんは言われています。専門家による助けを得ようとするとお金がかかると。
私もカウンセラーを探したことがありますが、ちゃんとしたところだと30分10,000円くらいが相場なんですよね。で、初回90分からだったりします。
裕福でないと心も救ってもらえないのか…と、やりきれない気持ちになってしまいます。
この本を読むと、自分の敏感体質や反応の仕組みを理解することが可能です。
第1に、HSPはホルモンバランスが崩れやすいんです。ホルモンと言うと性ホルモンが思い浮かびやすいですが、体には様々なホルモンがあって様々な働きをしています。
敏感さに関わるのは主に2種類。恐怖に反応して分泌され、体を緊張させる働きのあるノルアドレナリンとストレスに反応して分泌され、体を危機から守ろうとするモードにするコルチゾールです。
コルチゾールは断食の記事を書く時に調べていて知ったばかりだったので、本を読むにあたって良い予習になりました。
HSPは、ホルモン分泌の乱れが癖になっているそうです。でも、その癖は変えられるそうです!
詳細はここでは書きません。気になったら本で調べてみてください。
第2に、HSPは精神的境界が薄いんです。
それで他人や外界の影響を受けまくりなんです。
精神的境界を決める要素は、遺伝的なものが半分、育った家庭環境が半分だそうです。
でも!境界感覚はある程度コントロール可能なんだそうです。
詳細なコントロール方法もここでは省略します。
このHPSを作り上げている2大要素が、自分で変えられるものだということが分かって希望が持てました!
苑田さんは瞑想をベースにご自身を整えて行かれたようです。
瞑想というと私は少し抵抗があるのですが、瞑想するとコルチゾールを減少させられるという研究結果も紹介されていたのでやる気になりました。
呼吸だけに集中しているはずでも、わりと早い段階で頭は何かを考え始めます。これが雑念と言われるヤツっぽいですね。
吸って吐いての1セットすら終わらないうちに雑念が浮かんで来ることもあって、苦笑いしちゃうくらいです。
雑念が入りこまないような感覚をキープしたままうまく呼吸できる時もあります。今の段階では3〜4セットくらいまでですが。
その時の脳の使い方が、たぶん、自分の境界を保つ感覚と近いのではないかと感じました。
実際、脳の使い方ひとつでいろいろなことが可能ですもんね。
たとえば運転中の眠気も歌って解消できることを実感しています。あくまで一時的な眠気のごまかしに利用して、眠れる状況になったらしっかり眠るのが1番良いとは思いますが(笑)
敏感さを活かす
敏感だと良いことも本の中で多く書かれています。
敏感力は生きていく環境の中での適応力でもあります。
私は、低周波騒音に過敏だった体質がわずか1年で変わった経験をしているので、それも適応のひとつだったのかなと思い当たります。
人類が起こしてきた進化も、まずHSPが反応して自身の体で適応し、遺伝として残ってきたものと説明されています。
常識では考えられない変化や、奇跡のようなこともHSPは起こしやすいものらしいです。
"意識したものが拡大する"という言葉も紹介されていました。
脳の力は不思議で、意識したものを実現しようと様々な情報を集め始めるのです
これって!この力を利用しているものに、宝地図があるじゃないかとまたまた驚きました。
宝地図とは、夢ややりたいことをまとめて書いたものです。
宝地図を作ってリビングに貼って2か月になりますが、すごい勢いで叶ってきています。
大きな夢については、達成まで至らないものの足掛かりみたいなものができてきています。
HSPだと叶えていく力も強いのかな?と思うほどです。
敏感さとうまく付き合えさえすれば、HSPでいることはとっても恵まれていることなのかもしれません。